過去の事例から

過去の事例から

初診日に関してこんな事例もありましたので、参考までに掲載いたします。(個人が特定できないよう、病名等一部表示をしておりません。)

事例1

依頼人は8年ほど前からうつ病を発症し、病院で診察を受けております。しかし、17年ほど前にもパニック発作症状により病院に通院していた事実もあり、請求時提出する2通の診断書にもその事実は記入されていました。しかし、17年前の病状は一旦治癒したものとして、8年前を初診日として認定日による年金請求をしました。

案の定、年金事務所より17年前の病院の受診状況等証明書の提出を求められました。一時期だけ受診した病院ですから、その当時の証明が取れるはずもなく、何の疎明資料も添付せずに「受診状況等証明書が添付できない理由書」を提出しました。そのため当時の疾患と現在の疾患に当因果関係がないことの証明ができないことになってしまいました。

17年前を初診日とし、事後重症とされてしまう最悪の事態を覚悟をしましたが、病歴・就労状況等申立書には、社会的治癒を意識して、8年前の発症までは会社勤務をし、通常の生活を送っていたことをしつこく記載しました。

結果は、障害認定日での請求が認められ、5年さかのぼって障害厚生年金を受給し、現在も2級の障害年金を受けておられます。

事例2

依頼人は、10代の頃に交通事故を契機に、被害者であるにもかかわらず加害者から、お前が悪いと誹謗中傷を受けその後うつ病を発症し、転医しながらも通院を続けていました。その当時は事故の治療とともに同じ病院の精神科でも治療を受けていたため、受診していた病院で受診状況等証明書をお願いしたところ、既に10年近く経過していたため診療録は廃棄されており取得できない状況でした。しかもご本人、ご家族ともその当時の資料となるものは一切残っておりませんでした。

しかしここで、当時交通事故の処理に関与した弁護士がいることが判明しました。すぐに何か資料となるものが残っていないか問い合わせると、保険の請求に使用したその病院の医師の診断書の写しが残っていました。しかも、事故の怪我の治療内容とともに「心因反応」による不眠、悪夢、パニック発作の出現との記載がありました。現症であるうつ病と因果関係のある内容の診断書の写しが残っていたのは本当に幸運でした。

この診断書の写しをもって再度ご本人と一緒に診療録が廃棄されてしまっている病院に行き、事情を説明してお願いしたところ、確かに当院の医師の書いたものだと確認を受け、受診状況等証明書を記入していただくことができました。ただし、診療録からの記載ではなく、「当時の診断書の写しにより記載」との一文が記入されていたため、事情を詳しく記載した代理人の申立書を作成し、年金請求書に添付しました。

結果は、20歳前の傷病による障害基礎年金2級の受給となりました。

事例3

この事例は、初めて申請を代行した時の話です。
依頼人は精神遅滞(知的障害)でしたが、20歳になったため障害基礎年金を請求することになりました。国民年金ですので、市役所で手続きをしたのですが、そこでは初診日証明を取ってくださいと言われました。ただ、ご両親は、病気ではないとのお考えで、病院での診察は一度も受けさせたことがないとのことでした。
生来的な傷病の場合は初診日証明はいらないと聞いていたような気もするのですが、私も、初めての申請で言われた通りにしなくてはと思い、よく調べもせずに証明を取得する方法を考えました。

そこで、中学生の時に療育手帳を取得するために児童福祉センターで診断を受けていることがわかりました。当然医師が診断していますので、これを初診日とすることにし、療育手帳の写しを添付することにしました。

市役所では初診日証明を取れと言われてはいますが、知的障害は生来的であることが明らかですので、原則として必要はありません。その後、明らかに生来的な傷病での申請では、初診日証明を提出したことはありません。間違った教示をする市役所も悪いのですが、初めてとはいえそれに反論できなかった私も反省をした事例でした。
この事例では、もちろんご本人は2級の障害基礎年金を受給されています。

ただ、生来的な傷病であることが明白であれば、原則として初診日の証明は不要ですが、その辺が不明の場合は、提出を求められることがあります。医師の診断書で、その点の判断を記入してもらうことも重要です。発病日が出生日になっていたり、初診の状況で「出生時より・・・・」などの文言が必要だと思います。
なお、発達障害などは、初診日証明が原則必要となります。20歳前に必ず病院で診察を受けておくことが大切です。


最後に

初診日をいつにするか決められない、決めても証明書が取得できないなど初診日に関する問題は多く発生します。初診日がいつになるのかによって年金の請求方法も受給できる額も変わってしまうこともあります。初診日を決めるときは十分に吟味することは大切ですし、また証明書が容易に取れなくてもあきらめないことも大切です。

ただいつも感じるのは、障害になられて何年もの年数が経過してからの相談が多いことです。そのことが、障害年金の手続きを余計に複雑にし難しくしていることも事実だと思います。
障害で苦しまれているご本人はもちろん、ご家族の方も障害年金についてご存じなかったり、病状に追われて考えるいとまもない実情もあります。


障害年金について専門家である我々も情報を出して、広く知らしめていく必要性を痛感させられます。

初診日は特定できなければ、「初診日が特定できないため不支給とする。」との決定が出てしまいます。ただ、初診日証明が取得できない場合でも、過去の年金保険料がもれなく納付されていて、国民年金の事後重症での請求であれば、初診日については神経質にならなくてもいいという実感があります。どこが初診日になっても納付要件を満たしているからです。(ただし、20歳前傷病の場合は証明が必要な場合あります。)
保険料を確実に納付していくことがいかに重要かがわかります。